事例03:大阪大学大学院 理学研究科
生物科学専攻 学際グループ/神経回路機能学分野
木村 准教授 様
線虫の行動研究におけるSGC®(センサーガスクロマトグラフ)を使用したガスの拡散状態の測定
概要
導入の背景
- 「脳」の基本的機能を明らかにするために、昆虫や線虫の匂い応答に対する研究が活発に行われています。
- しかし、これら微小動物が実際に感ずるわずかな匂いを正確に測定する装置は存在していませんでした。
- 一方で、環境中からアルミニウム合金表面近傍に水素原子が取り込まれた場合は、水素脆性を生じさせると考えられています。
- 当研究室では、線虫が行動中に感ずる匂い勾配を測定するため、またそれを顕微鏡上で再現して神経活動を測定するために、SGC®(SGVA-カスタマイズ)、ガス希釈槽、オリジナル測定ユニットを導入しました。
経緯
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測定系の全体図 (大阪大学大学院理学研究科 木村研 製)
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SGC®(SGVA-カスタマイズ)、ガス希釈槽(左) オリジナル測定ユニットによる測定風景(右)
- 線虫が行動するプラスチックシャーレ内で匂い物質が揮発し、拡散する様子を測定するための方法について、NISSHAエフアイエスに相談しました。
- 求めていたシンプルな機能を持つSGC®(SGVA-カスタマイズ)とガス希釈槽を導入しました。
- さらに、より微量の匂い濃度を測定できるオリジナル測定ユニットを導入し、独自のロボット顕微鏡システム (木村研 製)の上で仮想の匂い勾配を再現し、匂い応答行動中の線虫の神経活動を測定しました。
成果
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右から 大阪大学大学院理学研究科 木村先生と当社技術開発 田中と実際の測定を行った学生の皆さん
- 線虫は匂い濃度変化の情報を積分し、進行方向を選択している事が分かりました。「情報の積分による行動の選択」は、ヒトやサルなど高等動物の「意思決定」の重要な要素である事から、線虫も我々と同様に「意思決定」を行っているという興味深い可能性が明らかになりました。
- この論文は、2017年5月23日(英国時間)発行の国際生命科学誌
「eLife」 に掲載され公開されました。